客室露天の思想 講義ノート暫定版

こんにちは。社会で壊れたETRです。さて、今回はそのうち出そうかな~と思っていた琴葉ぬいを客室露天に連れまわした写真をのっける本の、そのついでに書こうとしていた文章の叩き台が完成したので、折角だからとツイタでアンケートを取ったところ、こっちにも載せろと言われたため、そいつをブモグに載せることにしました。下書きも下書き(推敲なし)なのでアレですし、内輪っぽいおふざけも何個か入っているのでとてもコミケで出せたものではないのですが、まあ内輪向けに(出すときはもうちょい真面目に書きます)パイロット稿を投げてみます。それではどうぞ。

 

0.はじめに

突然だが読者諸氏は旅行に行ったことはあるだろうか。ある、と答えた各氏、あなたは温泉旅館に泊まったことはあるだろうか。では、温泉旅館に泊まったことのある者に問おう、あなたは客室に露天風呂がついている客室に泊まったことがあるだろうか。ここまで来ると大半の人間がふるい落とされる。なぜならばここでこの文に目を留めるような物好きは基本的に一人でうろうろしているか、複数人でうろうろしたとしても恋人などではなく普通に友人と出かけているために、貸切風呂ならともかくわざわざ露天風呂のついた客室を探す理由がないからである。この文書はそういった諸氏に客室露天の思想を紹介する目的で作成された。またしかる後、万に一つ内密な関係の人物が現れたときに、誘う先に困らないように知恵を授けるという目的も同時に帯びている。はたまた筆者のような、一人で誰にも邪魔されず温泉を楽しみたいという人間も志向している。あるいはぬいぐるみやフィギュアを連れて旅している人間の中でも、正直公共の場でそれを出すのは憚られるといったニーズにも対応している。ともかく、客室露天の世界は微妙に底が深いくせして、基本的に旅行サイトはハイクラスなところや有名な場所を脳死で紹介するのみで、それぞれの好みに合った選び方を教えてなどくれないのである。本文では、そういった筆者自身の悩みの解消も目的とされていることをここでひそかに明かしつつ、本題に移っていこう。

 

 

1.客室露天って何?

本題へ入るにあたって、客室露天の定義を明確にしておこう。客室露天は次の条件を満たした浴場のことをいう。

  • 客室から直接または隔絶された客室敷地内のみを通る通路でアクセスできる
  • 建物内ではなく外気に必ず触れている(窓で仕切れない)
  • 最低限度の上空の眺望がある(但し眺望が優れている場合はその限りでない)
  • その他別途定める条件を都度クリアしたもの

 

  • の内容については後で定めるので、ここでは①~③について解説していこう。

 

 

①客室から直接または隔絶された客室敷地内のみを通る通路でアクセスできる

これは非常に簡単なことである。客室の外に出てしまうのならばそれは客室についている露天風呂ではない。全裸で客室外に出たら良くて露出魔未遂で心に傷、悪ければ何もかも失って刑務所行きである。ともかく何らかの方法によってよそとは隔絶されている必要がある。但しこれは眺望を規制するものではない。

 

②建物内ではなく外気に必ず触れている(窓で仕切れない)

ごくまれに建物の中に風呂を置き、窓を開ければ外が見られるので露天であるとして売り出している不届きな輩がある。これは分類上露天ではなく”半露天”とされる浴場のあり様であり、これは厳密にいえば露天ではない。露天は必ず外気に触れている必要があるのだ。

 

③最低限度の上空の眺望がある(但し眺望が優れている場合はその限りでない)

“露天”なのであるから上空の眺望があるのは当然のことである。これは直上にあることを必ずしも意味しない。雨をしのぐには当然屋根が必要であるし、上に別の客室があるならば丸見えとなる構造には問題があるだろう。

 

 

2.客室露天のある宿所

さて、客室露天の説明のために、まずどのようなところに客室露天があるかを一通り纏めておくのが筋であろう。客室露天はまた、その宿の形態によって大きく姿やその他の付帯サービスが分かれてくるのである。これは当然の話で、高級旅館とされるところと民宿などではそもそもの設計思想が異なる他、食事やアメニティに至るまで何もかもが異なる。そういうわけで、ひとまずいくつかのカテゴリーを用意することとした。以下がそれである

 

A.温泉旅館系統

①一般的な温泉旅館(平屋または3階建て以下)

これはよく想像される温泉旅館の客室の外側スペースに露天風呂が付けられている(所謂椅子とテーブルが置かれている例のスペースの外側についている)ケースである。ハードは一番オーソドックスなもので8畳~10畳一間にトイレがついていて、食事は大抵が2食付きで、価格はピンキリがあるものの、概ね素泊まりが10000円~、2食付きだと15000円~が相場である。また当然のことながら客室の広さやアクセスによって価格は青天井となる。なお以下にも当てはまるが、複数人であればもう少し安く上がるケースも当然存在する。

 

②ミドルクラス温泉旅館

2食付き25000円~35000円程度で、先のものと比べてもう少しクラスを上げた部類である。構造はほぼ同じだが、食事等のソフト面が強化されている場合が多い。また、ハード面においても、一間ではなく二間であることがたまにある。このクラスでもハードの中身は安定しないことが多く、後述の別定条件を満たさないこともままある。

 

③ハイクラス温泉旅館

底値で2食付き40000円以上のクラスが当てはまる。このあたりまで来ると基本的に客室数が限られた離れの造りとなる。上述のものよりさらにハードもソフトも強化されている傾向が強く、このクラスになるとほぼリビングと寝室の二間以上が確保されている。実はここまで来てもなお後述の別定条件を満たさない旅館が数多く存在するのは公然の秘密である。

 

 

B.リゾートホテル系統

①廉価なリゾートホテル

湯快リゾートみたいなものと言えば想像できる人も多いだろう。その手のホテルが露天つき客室を誂えているケースも往々にして存在する。ハードは上記の温泉旅館におおむね似たようなもので、たまに”例のスペース”がないこともある。こういう場合、ノーマル客室だと10000円を切ってくるところ、平気で20000~30000円の値付けがされていることが多い。そして食事は大抵がどこかで見たことがあるような食材が並んでいるバイキングで、来るのは主に地元の人々である。また大抵露天つき客室はスペースの関係上低層階にあるため、眺望の期待は出来ない。

 

②ミドルクラス・リゾートホテル

所謂観光地によくあるリゾートホテルである。ハードはやはり温泉旅館に似たようなもので、価格帯は2食付きで20000円~が相場である。こちらは低層階のこともあれば、上層階にあることもあり、これらは後述の条件に関わってくることから、実は最も精査が必要なタイプのホテルである。

 

 

③ハイクラス・リゾートホテル

ハイアットやインターコンチネンタルを想像してもらえれば手っ取り早い。これらは逆に上層階の豪華な客室にプリセットされていることが多い。価格は最安でも素泊まり30000円~、食事をつけるとさらに跳ね上がるので、正直一般庶民に手は出せない。また後述の条件を満たしていないことが基本的に多いため、端から選択肢に入ってこないというフシもある。

 

 

C.温泉ホテル系統

①ミドルクラス・温泉ホテル

上記の廉価版である。ハードはミドルクラス・リゾートホテルに近く、価格帯も似たようなところにある。こちらは大抵低層階にあり、上層階にある場合はやはり後述の条件に関わってくるので精査が求められるところである。

 

②高級温泉ホテル

ある種サービスが体系化されたタイプの高級ホテルである。タイプとしては加賀屋あたりを想像してもらえればいいだろう。ハードはハイクラス・リゾートホテルに近く、価格も大体似たようなものであるが、実際のところこの手のホテルはおひとりさまお断りのことが多く、調査が難しいのが現状である。誰か代わりに旅団を組んで行ってきてほしい。

 

 

D.その他

①ゲストハウス

本当に泊まるだけのゲストハウスにも客室露天は存在している。最も安価に客室露天を利用できるのがこのタイプで、一番安いところだと3000円台からあるが、こういうところの場合、そもそものアクセスが非常に劣悪であったり、ハードがボロボロであったり、食料調達に難があったりするので初心者には基本的におすすめしていない。その手のものを除くと、大体温泉旅館の素泊まり価格あたりに落ち着いてくる。

 

②ビジネスホテル

なんとビジネスホテルにも客室露天が存在している。価格帯も10000円前後であることが多いのでお手頃もお手頃である。とはいえ、これも後述の条件に当てはまっていないことが結構あり、安いからといって飛びつくと痛い目を見ることになるので、これも精査が必要なところである。

 

 

3.客室露天のメリットって何?

下手すると普通に泊まるよりも2倍も高いような料金を払って客室露天に泊まるからには相応のメリットが無ければならないだろう。よって以下に個人的かつ偏見による客室露天のメリットを示す。

 

①温泉への入浴が単独で可能

温泉は大抵大浴場で提供されていることから、他の人間と同時に浸かることが殆どである。しかし、外面(ここでは通常視界に入るあらゆる要素を対象とする)にコンプレックスを抱えていたり、あるいは自分が見たくなかったり、潔癖(とはいってもそこまでだと布団すら使えないだろうというツッコミは無しで)だったりすると、結構抵抗があるものである。客室露天はそれを解決する。最初から最後まで一人で完結するのだ。また感染症拡大下でのおでかけにおいても、共同浴場で地元人間がノーマスクで大声の会話をしているような状況に飛び込まずに済むというメリットもあろう。

 

②全裸中年男性で過ごすことが可能

服というものは煩わしいもので、着ていると汗をかいたり匂いを吸ったりと難儀なものだ。しかし大浴場へ行くには服を着なければならない。全裸で館内を徘徊するのは論外である。ところが客室に露天があると、バスタオルを敷いた椅子と浴槽の間を全裸で往復するだけの完全な滞在が可能となる。入浴にかかる時間を最小化し、温泉体験を最大化することができるのだ。これは非常に効率的で、大浴場への平均リードタイムを6分、着替えを2分とすると、1入浴あたり14分の短縮となる。実に1入浴の時間で2入浴できるのだ。もちろん旅団を組んでいる場合はそんなことは出来ないが、それでも大浴場へわざわざ移動しなくても済むのは大きなメリットであろう。全裸中年男性スタイルこそが、少ない時間で最大の効用を生むのである。

 

③撮影が捗る

これは完全に筆者個人の趣味であるが、先述したように、例えばぬいぐるみやフィギュアを持ち歩いておでかけをしている場合、公共の場でそれらを出すのはなかなか憚られるものだが、客室露天であればそのようなことは一切気にせずに済む。気にしないのならまあ話は別だが、一般常識のあるオタクならばわかるであろう。またそれらを持たなくとも、季節は限られるが、単純に写真趣味の人間が湯気の立った写真を手軽に撮るときなどに役立つこともある。

 

④独占と解放の両立

結局上記はこの一言に凝縮される。独占空間であるから自由がきき、解放感も同時に味わえることこそが客室露天のメリットである。これは客室付きの内風呂では不可能な体験である。もちろん、虫や日光などの副産物こそあるが、露天からひとりで景色や夜空を眺める体験は客室露天でしか基本的に得ることができないものである。この心地よさこそが筆者をはじめとした客室露天愛好家の心を掴んで離さないのだ。

 

 

4.客室露天の別定条件とは

ここでは第1章の④でほったらかしていた「別途定める条件」を明らかにしていくこととする。実は最も大事な要素といっても過言ではなく、逆に言えばこの別定条件を満たしていないところは基本的に地雷かハズレであるといえよう。(但しこの「地雷・ハズレ」客室露天の観点であることに留意されたい)

 

別定条件①:独房ではないこと

これは配管の関係から低層階にありがちな客室露天の宿命ともいえるが、外部からの視線の遮断という点を考えた際に、露天風呂の周りを完全に壁で囲ってしまっており、解放感もクソもないケースというものがかなりの割合で存在している。これをここでは独房と呼称するが、入口以外の三方が完全に封鎖されている様は正に独房と呼称して差し支えないだろう。解放感も独占感もない、上だけ見える風呂の為に高い金を払うのは正直気が引けてしまう(なら別に大浴場の方が満足度高いじゃんとなる)ので、予約前の調査を入念に行う必要がある。多くの場合、広角レンズで誤魔化しているものの、見抜くこと自体は難しくなく、3分あれば宿の公式ページやじゃらんの写真からその化けの皮を剥がすことが出来る。諸兄には客室露天の入門として立ちはだかるであろうが、この少しの手間を払えるかどうかで満足度は大きく変わってくることから、惜しむことはないように願いたい。そしてこの手のことをしている宿の場合、元々の宿の建付けや設計に何らかの無理があることが多く、風呂以外の全体的な満足度も低くなりやすいこともここに付記しておく。

 

別定条件②:壺ではないこと

客室露天と検索して出てくる多くはこの「壺湯」タイプであるが、これは非常に難儀なもので、足が伸ばせなかったり、変に深かったりと、やはり満足度や解放感の面からいえば物足りなさを感じてしまう部類である。宿側からすればあとからの導入が手っ取り早く、安く、その上客寄せになるためにそうしているのであろうが、高い金を払う側からするとたまったものではない。とはいえ、この手の壺湯を採用しているところは同じようなタイプの宿に比べて相対的に安価なことが多く、実はこれも避けやすい地雷である。というか部屋の備品の写真を見れば一発でわかるため、手間を惜しむか惜しまないかの勝負である。また公式サイトですらそこをひた隠しにするところは端から候補に入れないのが吉であろう。但し、木桶タイプはそれらの瑕疵がないため候補から外さないことをお勧めする。

 

別定条件③:ただのお湯ではないこと

最大にして最難関の条件である。温泉と銘打っているにも拘わらず、客室露天だけ水を沸かしている不届きな宿が残念なことに数多く存在している。そしてこれは画像では見抜けない。公式サイトの一番下に小さな文字で書かれていたり、予約の最後の局面にならなければその事実が示されなかったりすることから、最も基本的な条件であるのに見抜くのが最難となっている。正直このような詐欺まがいの行為はやめてほしいところである。そして先の章にあった「後述の条件」は基本的にこれを指している。ミドルクラス以下のホテル(not旅館)や、ハイクラスのホテルは、「温泉」であることよりも「展望の露天」であることに重きをおいているため、端から配管や洗浄の手間のかかる温泉を引いていないことが多々あり、客室露天の思想からいえばその時点で候補から外れるのである。客室露天初心者が最も陥りがちでありながら、熟練者でもたまに引っ掛かってキャンセル料をせしめられてしまう、この世の許されざる悪のひとつであろう。

 

 

5.客室露天のさがしかた

①まずはOTA(インターネット宿泊予約サイト)で調べる

客室露天を導入するタイプの宿は、基本的に財務体質がそれなりに強いことから、インターネットで調べて出てこないということはまずない。一休やRelux、JTBじゃらんなどから、目的地や予算に合わせて候補を絞っていこう。

 

②写真を穴が開くほど見る

上記の条件を満たす宿は思ったほど多くない。そのため穴が開くほどOTAのサイトや公式サイトを見て精査することが重要である。細かい文字の見落としもないようにしよう。

 

③客室ページを穴が開くほど見る

これは水を沸かしただけの詐欺ではないかを判別するために非常に重要な作業である。基本的にこの②、③で時間の半分を使うくらいには精査しておこう。

 

④その他の条件を勘案する

客室露天が条件を満たしてはじめて食事やアクセスなどを調べる。というかここまでして残った宿は大体その他の満足度も高めなので、あまり気にしすぎないことが重要だが、あまりにもソフト面の口コミが酷いところは何らかの条件に引っ掛かっているのを見逃している可能性があるので、ここは最終チェックも兼ねていると言えよう。

 

⑤わからなければ電凸

サイトを端から端まで見回しているであろうから必要はないとは思うが、別定条件③の水でないかどうかなど、どうしてもわからないことがあれば最終手段として電話を活用しよう。大体これで解決する。

 

 

6.その他

以下は通常の温泉旅館・ホテル選びの基礎部分であるため、知見のある諸兄は飛ばして頂いて構わない。ここでは支払った金額に見合わないサービスしか受けられないという事態を避けるための方策を独断と偏見と経験から書き記しておく。

 

①夕食バイキングには要注意

朝食がバイキングである分には基本的に問題ない。そういう場合は夕食のおまけ程度の値段しか取られないし、ぼったくるにしても限度があるためである。最悪でもビジホ程度のものを覚悟しておけばよく、それ以下が出てきた時は運が悪かったと諦めがつく。問題は夕食がバイキングとなっているときで、これは廉価なリゾートホテルに多いが、上述した通り、大抵がどこかで見たことがあるような食材が並んでいるバイキングになることしかなく、地元の人間(特に小さな子供連れ)のたまの贅沢以下の扱いであるため、民度・治安といった点からあまりお勧めは出来ない。食事が終わるころには微妙な気分になっていることだろう。とはいえ、そういう場にお邪魔しているのはこちらであるのだから文句は言えないし、結局のところ最初からそこは避けるのがスジである。

 

②状況に応じて送迎を活用しよう

タダで送り迎えしてくれるのは非常にありがたいことである。場合によっては数十キロもの距離を送迎するパターンも存在し、バス運賃に換算して2000円以上の節約になるときもある。まあ車で行けば基本的に問題はないのだが筆者は眠剤の関係で運転が出来ないので公共交通利用を前提として話を進めてきたわけである。

 

③加温・加水・循環の3無い運動の励行

要は源泉かけ流しを選ぼうというおはなし。湯量が豊富な別府や由布院であれば特に問題は無いが、箱根のような湯量に比して人間が多数生えている場所は加水や循環が行われがちである。せっかく泊まるならかけ流しの方が良いだろう。実はこの判定もそこそこ難しく、客室露天だけかけ流しで無いケースがそれなりの数存在している。対処法は電凸か穴が開くくらい公式ページを見るくらいしかなく(あとは日帰りをやっているところ限定でゆこゆこから絞れたりもする)、ただの水判定と同じくらいの難度と言っても過言ではない。最悪循環だけは避けよう。

 

Googleレビューを信用しすぎないこと

ぶっちゃけ☆4.3を超えてくるとコスパ的にはあんまり違いはない。それよりも自分が重きを置く条件が満たされているかどうかに焦点を当てよう。とはいえ、もちろん評価が高ければ基本的にいい宿であるのは間違いないので、そこはバランスが重要だ。

 

⑤1人と2人の価格差に注意

1人客は部屋面積あたりでは儲からないので、同じサービスでも1人客に2人分近い料金を吹っ掛ける宿もかなり存在する。立場は理解するが、正直気分は良くないので、2人と1人でそれぞれ料金を比較することをお勧めする。また、そもそも1人では泊めてくれない宿も数多いので、最初の選択肢がかなり絞られている点にも注意が必要である。どうしても泊まりたいなら旅団を組もう。組める人がいればの話であるが。

 

⑥クラス分けと線引き

上記においては1人旅を前提とした解説であったため便宜的に1人での価格でクラスの線引きを行ったが、大抵の温泉は2人以上の利用が前提となっているため、実は2人利用の価格で判別する方がクラス分けの確度は高くなる傾向があり、概ね10000円、20000円、30000円と、10000円ごとに概ねの線引きが出来る。2人利用で1人頭30000円を超えると大抵がハイクラスに相当し、それなりのサービスがあるということは覚えておいても良いかもしれない。

 

⑦地域ごとの価格格差

当然のことながら需要と供給というものがあるため、地域によって同じ設備でも価格は大きく異なる。この場合、先述の線引きに補正をかける必要がある。また地域ごとに客室露天の数自体にも差がある。主な地域別の特徴と補正は以下の通りである

 

北海道→リゾート化されているところが多く客室露天自体が多くない。一人で泊まれるところは更に少ない。元のパイが大きいため不毛地帯が続く見込み。補正値は×1.4

 

東北→客室露天自体は多いが一人で泊まれるところは少ない。冠害で2人組が増えたため一人の受け入れをやめたところも多い。補正値は×1.3

 

関東→栃木、群馬に集中。これは元の温泉のキャパがデカいため。但し草津伊香保のようなメジャーなところには少ない。南部は不毛地帯。補正値は×1.2だが、箱根に限り首都圏補正で×1.4

 

中部→伊豆半島が圧倒的。長野、新潟は思ったより多くない。北陸は水を沸かしている宿や複数人でなければ受け入れないところが多く、一人だと選択肢がない。補正値は×1.3だが、伊豆半島に限り首都圏補正で×1.4

 

近畿→ほぼない。有馬、城崎、白浜等の有名どころから洞川、十津川などの奥地に至るまで、そもそもの(思想に合致する手の)客室露天の数が多くない。あったとしても一人は受け入れてくれない。補正値は×1.2

 

四国→同上。一人を受け入れてくれる客室露天の数自体が少ない。大歩危、道後が有名だがガチャ。補正値は×1.1

 

中国→山陰に少しだけ。しかも一人客を受けてくれるところは片手で数えるほどしかない。諦めよう。補正値は×1.1

 

九州→大分・鹿児島がパラダイス。単一温泉地では由布院がぶっちぎり。単価も安く試行回数を稼げるので初心者は由布院で修練するが吉。熊本にも少しあり。佐賀・長崎・宮崎はそうでもない。福岡はア。補正値は×1

 

7.まとめ

以上が客室露天の基礎的な知識である。もっと突っ込んだことを言うなら泉質であるとか風呂の材質であるとか置いてある石鹸との組み合わせだとか、あるいは料理の話にしても焼肉はコスパ面からどうだなどといろいろ言えるのだが、それはまあ先行研究があったりめんどくさかったりするのでここでは割愛することとした。客室露天は基本的に解放感のある温泉を独占できることに価値がある。実際にそれを味わってしまうと割と元には戻れなくなってしまうのである種ドラッグめいたところがあるが、読者諸兄にもその悦びを是非味わってほしい。きっと新しい世界が開かれるはずである。